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2020年1月3日

「エバンジェリスト」の時代

 働き方改革は第二ステージに入り、積極的に働き方改革を実施し、効果を上げている企業とそうでない企業との格差が鮮明になってきました。特に昭和的ワークスタイル(長時間労働を美徳とした働き方や評価)から脱却できない組織は、若手の離職が多くなり、将来の事業継続がより厳しくなっています。
働き方改革の先では、個人が職種別に単独の仕事をする機会は少なくなっていきます。「私はコンサルタントです」「私はファンドマネジャーです」「私は小売店の売り場を担当しています」自分の仕事を他人に紹介するとき、このような表現は意味を失っていきます。個人が複数の仕事を兼務することで人口減少時代に一定の生産性を確保しようという意図です。
 花屋で働き、同時に幼稚園の教諭として子供たちを教え、同時に経営者としてビジネスに取り組む。このように複数の場所で活躍する人材が増えていきます。
 複数の場所(バーチャル空間を含む)で複数の仕事をこなすことをサポートするのがAIをはじめテクノロジーの汎用化です。当然そのリテラシーを高める教育方法も変わります。例えば、初等教育においては、子供それぞれの学習進捗度に応じたオンライン教育が一般化し、初歩の識字力強化としてロボットや人工知能によるゲームが導入されます。そのため、幼稚園教諭がこれまでのような幼稚園教諭像(イメージ)である必要がなくなります。企業に業界の垣根がなくなるのと同様に、個人が取り組む仕事の垣根もなくなり、広範囲に手掛ける人材が競争優位となる時代が目前に迫っています。
 令和時代は、「何をやっているかわからない人材が強い!」人工知能、ブロックチェーンなど新しいテクノロジーが出てくると、テクノロジーを熟知し、ビジネスも熟知する人材がそれぞれの垣根をつなぐ必要性も高まってきます。垣根をつなぐ、越境人材を「エバンジェリスト」といいます。謂わば伝道師です。自ら複数の顔を使い分け、時にはエバンジェリストとして業界や職種の垣根をつなぐことができる人材が令和時代のハイパフォーマーなのかもしれません。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)