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2020年3月5日

ギグワークに見る自由と自己責任

 AI(人工知能)やインターネットなどの情報通信技術は、私たちの社会を劇的に変化させました。これを受けて現在働き方改革が進んでいます。
最近のバズワードとしてギグワークあります。ギグワークという働き方が閉塞した経済を活性化させる起爆剤になるという期待が寄せられている一方で、貧困や格差など社会的な問題を招くものだとする議論が盛り上がっています。終身雇用や新規学卒一括採用のような日本的雇用慣行もなくなるのだという話まで広がっています
 ミュージシャンがその場限りで集まって演奏して解散する、このことをギグといいます。
ギグワークはここから引用された表現のようです。その意味は、サービスを受けたい人がサービスを提供する人にその場限りで仕事を依頼するということです。スマートフォンのアプリケーションが仲介役を果たします。買い物代行、介護、旅客、事務処理、プログラム作成など、多くの仕事に広がっています。そこで働く人の多くは誰かに雇われているわけではありません。仕事ごとの請負という形をとっているのです。
 このため、時間や組織にしばられない自由があるようにみえますが、仕事の発注元との力関係はかならずしも強くはありませんし、納期のような期限から完全に自由になれるわけでもありません。それだけではありません。雇われているなら手にすることができる最低賃金や残業代、最長労働時間といった保護や、健康保険、企業年金、失業保険、労働災害保険といった保障の外側に置かれているのです。働く人の権利を守る労働組合をつくることも難しくなります。
 これがギグワークの実態です。時間や組織に拘束されない自由を得ることができる反面働く労働者としての権利を放棄するので、その代替手段を自己責任で獲得する必要があります。
 令和の時代、私たちの雇用は、自由と自己責任を上手に均衡させることが求めれます。組織と個人が対等の関係(パートナー)と考える企業が増加する以上、契約関係も多様化するでしょう。そのベースとなる考え方が自由と自己責任なのです。ある意味とても厳しい世界ですが、自由を獲得すべく切磋琢磨する個人の姿は尊いものです。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)