コラム一覧

2020年8月3日

テレワーク環境での人事評価と組織

 テレワークが広がるとひとり一人の能力や成果はわかりやすくなります。例えば、資料作成を上司が部下に依頼します。完成したら資料がメール送付されてきます。それを評価者間で共有すれば部下の作成した資料の出来栄えは誰が見ても明らかとなります。
 昭和時代の典型的大企業では、部長が課長に「資料が欲しいから手分けして作成してくれ」と部下に業務を丸投げします。そうすると優秀な部下数人が手分けして仕上げて課長に渡します。部長は、誰が何をやっているのかは分からない状態となり、マネジメント機能を果たしていない状態になってしまいます。
 成果評価は難しいという人もいますが、多くの評価者の目を通せば妥当な評価に落ち着く場合が多いものです。テレワークでは360度評価が可能になり、上司の好み(依怙贔屓)を無くすことができる点も大きいです。当然、業務によって比較が難しい場合もあるので業務分野を分けてその中で評価することが基本となります。
 上司の評価もわかりやすくなります、上司は今までのように部下に業務を丸投げ出来ないので、最終成果物をイメージし、そこからひとり一人に業務を割り振ることが必須になります。業務の中には雑務もありますが、特定の人間に雑務を押し付ければ不満が噴出します。キーパーソンである部下を中心に全ての部下に業務を上手に割り振る能力が要求されます。
 業務の評価が時間基準から成果基準に変わると、能力のある人間は短時間で業務を終え、空いた時間を副業や勉強(自己研鑽)に充てるようになります。そのことで能力ある人間は、さらに能力向上が図れます。当然格差が生じますが、年功による格差と成果による格差のどちらがフェアでしょうか。
 コロナ禍におけるテレワーク導入企業の増加や兼業・副業の増加は、当然企業の人事評価にもパラダイムシフトを要求します。
 同志社大学の太田 肇教授は、「働き方改革にしても、生産性向上にしても、せっかくの努力が実を結ばないのは、根底にある基本的構造が変わらないからである」と説きます。基本的構造とは、組織や集団から個人が「未分化」であること、つまり組織や集団に個人が溶け込んでしまっている状態であると危惧しています。
 組織と個人がお互い自立(自律)した関係を構築できるかがこれからの時代に勝ち残る組織の条件になるかも知れません。
組織人事コンサルティング部長 岡田 英之

組織人事コンサルティング部長

岡田 英之

早稲田大学卒
東京都立大学大学院  社会科学研究科  経営学専攻  経営学修士(MBA)
国家資格  キャリアコンサルティング技能士
産業カウンセラー