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2021年3月18日

コロナ禍の今こそ人事戦略に「次の一手」を!

 首都圏では、桜の開花宣言と同時期に緊急事態宣言解除が決定されました。しかし、感染者数のリバウンド増加も懸念され、予断を許さない状況は続きます。この間飲食業界を中心に多くの企業が苦境に立たされ、事業の立て直しや組織再編、人員整理などを迫られたことでしょう。一方で、ピンチはチャンスとばかりに、コロナ禍の今だからこそ積極果敢に新しいビジネスに着手する企業も散見されます。
 今、企業人事部門は何を考え、行動すべきなのでしょう。この1年、企業人事は外的要因から否応無しに組織内での環境を変えてきました。しかし本質的な課題へのパラダイムシフトが進んでいるかどうかは疑問です。真のパラダイムシフトを行うための「次の一手」が必要なのです。
 「次の一手」というフレーズを聞いて、将棋や囲碁の世界をイメージする方もいらっしゃるかと思います。著名将棋棋士の一人である羽生善治氏は、ある雑誌のインタビューにて、『駒を動かせるパターンはだいたい80通りくらいあるが、その中から直観で2つか3つを選ぶところから始める。残りの70以上ある手は最初から考えていない。しらみつぶしに全パターンを考えていたら、いくら時間があっても足りない。その理由はシンプルだ。1手ごとに選択肢が3つあるとしても、『数の爆発』という問題にぶつかってしまう。10手先まで考えると、選択肢は3の10乗(5万9049)通りも存在してします。限られた時間の中で6万通り近いシミュレーションをこなすのは現実的ではない。』とコメントしています。将棋は盤上で棋譜を読み合う世界です。勿論相手との相互作用の文脈で棋譜を読み合います。このことは人事戦略を考える際にもヒント与えてくれるように思います。人事戦略での盤上とは企業や団体などの組織を指します。棋譜を読み合う世界とは、組織を構成する様々な人々、つまり経営者や従業員、顧客、株主などの言動による関係性や相互作用といったところでしょうか。人々の意思や思いを読み合うことが棋譜を読み合うことに通じるように思います。相手を思いやり、相手の欲求について、その背景も含めできるだけ深く理解し、自身の意思や欲求と擦り合わせようと試みる。擦り合わせることで摩擦や軋轢が生じることもありますが、自身と相手が共鳴、共感することで、新しい何か(次の一手に繋がるヒント)が生まれる瞬間があります。
 皆さんにとっての次の一手とは何でしょうか?多くの企業や組織が次の一手を渇望していると思います。次の一手のみならず二手目、三手目も重要です。次の一手を考えるヒントを得ようと、ご自身の身近なネットワークにおける関係性や相互作用を紡いでみるのも良いのかも知れません。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)