2021年4月1日
コロナ禍の影響やデジタル化対応を背景に、Zoom等によるリモートワークが普及しています。必ずしも在宅ワークでなくてもミーティングや商談をオンラインで行うスタイルが定着してきました。 人事分野でも、採用や研修業務の多くがオンラインになり、担当者も自宅などリモート環境で仕事をする時間が多くなりました。これも働き方改革です。 こうした動きに関連し、ジョブ型雇用、副業解禁、アルムナイなどといったこれからの働き方を模索する動きが活発化しています。 働き方がますます多様化していく中で企業が注視すべきポイントは以下の3点に集約されます。 ①業務のタスク単位での整理が重要になる ②仕事の依頼の仕方が上司と部下の関係性改善や生産性向上の差別化ポイントになる ③社員のリテンション施策を考える際に、ポジティブな離職をどう捉えるかがポイントになる 業務のタスク単位での整理と仕事の依頼の仕方は副業やジョブ型雇用においては特に重要です。 「とりあえずこれをやっておいて」ではなく、業務の目的、範囲、具体的なアウトプット、納期、完了要件などを整理しておかないと、業務に携わっているメンバーの力を十分に活かすことができません。言い換えれば、業務の整理や仕事の依頼の仕方ができていることが人材活用やジョブ型雇用への移行において有利に働く可能性が高いと言われています。最後のポイントがポジティブな離職をどう捉えるかです。一般に離職理由は様々ですが、大きく本人のキャリアと企業の人的資源管理において、ポジティブな要素が多い離職とネガティブな要素が多い離職に大別できます。同じ離職でも可能な限りネガティブな要素は避けたいところです。昨今、アルムナイというOB・OGの組織化や企業とのつながり強化を目的とした活動が活発化しています。OB・OGと企業がつながって(ネットワーキング)おくことは、出戻りによる人材確保だけでなく、新たな優秀人材の紹介や顧客の紹介などにつながる可能性もあります。何より「優秀な人材を多数輩出している」という評判は優秀な人材の確保には非常に有利です。日系企業ではリクルート社が有名です。 こうしたアルムナイ活動、副業支援、ジョブ型雇用などは大手企業を中心に積極的に取り組みをはじめています。総合商社の双日(旧日商岩井)のケースは注目です。就活生から人気の高い総合商社でもこのような取り組みを始めているので、働き方の多様化と進化を進めていくことが、人材確保においては今後ますます重要になってくるでしょう。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長
1996年早稲田大学卒 2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉 1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。 その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。 現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長 ■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員 ■2級キャリアコンサルティング技能士 ■産業カウンセラー ■大学キャリアコンサルタント ■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)