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2021年4月12日

部下とのコミュニケーションは量より質

 上司と部下の職場コミュニケーションは永遠の課題です。コロナ禍で従来の対面だけでなく、オンラインでのコミュニケーション機会も増加し、コミュニケーションスキルの巧拙がより顕著になっているのではないでしょうか。職場内でのコミュニケーションは、それが良好であれば意思疎通が円滑化され、組織の生産性向上や若手人材のモチベーションアップに寄与することは論を待ちません。
 先日、某企業での調査結果が発表されました。上司・部下のオンライン面談に関する調査です。この調査では、面談における頻度や、定期実施の有無、面談に対する心理的な不満・満足などを多角的に調査しました。データを分析すると、様々な結果(新しい視点)が獲得されました。簡単にポイントのみ整理すると、

(1)上司・部下間の良好な関係のためには、コミュニケーションの頻度よりも、コミュニケーションの満足度のほうが影響度が大きい。
(2)コミュニケーションの頻度が多くなると、コミュニケーションに対する満足度が低下する可能性がある。
 
 こうした結果は、意外と思われる方も多いのかも知れません。いずれにしても、コミュニケーションの回数を増やすのではなく、1回あたりのコミュニケーションの「質」を大切にしましょう。そんなメッセージが感じられます。
 一方で、昨今のオンライン環境(テレワークやリモートワーク)ではどうでしょうか。従来の職場(対面)環境では、上司に1日に何度声をかけられても気にならない。しかし、オンライン環境になると、ストレスを感じる人も多いようです。「何回も接続したり、チャットしたりしないで1回で終わらせてよ!」って思ってしまう部下も多いのかも知れません。
 最終的にコミュニケーションの満足度をあげるためにはどうすればよいのでしょうか?やはりコミュニケーションに対するニーズに関心を持つことが大切なのでしょう。例えば、人がコミュニケーションに何を求めているか?キーワードを挙げてみると次の通りです。

「楽しさ、愛情」、「インクルージョン」、「逃避」、「休息」、「働きかけ」・・・・・

 「相手がこの話に何を求めているのかな?」と、相手の気持ちを感じとろうとする姿勢が大切なのでしょう。
 面談等で「タスクの進捗」を共有していても、実は仕事の愚痴を吐きたかったり、楽しい会話をしたいのかも知れません。本当に基本的なことですが、オンラインだと相手の表情が読み取りにくくなるので、意外と意識しなくなってしまいます。
 当然、ビジネスシーンでのコミュニケーションにおいて、アジェンダ(議題)を準備することは大事なことです。事前に、何を話すのか?何を決めるのか?を共有しておいた方が会議の生産性は高まります。ただ、そのアジェンダに従って、コミュニケーションを構造化し過ぎると、参加者の満足度や心理的安全性は低下してしまいます。ジレンマです。

「今日は何を話したい?」

 日々多忙なビジネスシーンにおいても、こんな気楽な切り出し方を許容する空気があっても良いのかも知れません。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)