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2022年7月29日

人財育成担当者に求められるスキル(探索と深化)

 リスキリングやリカレント、アンラーニングなどの言葉が喧しく語られています。人生100年時代を迎え、働く期間が長くなると同時にキャリアの棚卸しや学び直しの機会も増えていきます。これらを支援する企業にとっても今後研修(人財育成)部門の役割はより重要になってくるように感じます。では、研修(人財育成)部門はこれまでどのような取り組みを行い、これからどのような取り組みを指向していけば良いのでしょうか。
 研修(人財育成)と言えば、OJT、OFF-JT、自己啓発の3つの言葉をイメージされる方が大半かと思われます。これまで多くの企業の研修(人財育成)は、この3つの言葉を軸に体系化され、プログラムが実施されてきたように思います。巷に溢れる研修(人財育成)関連の調査でも、OJT、OFF-JT、自己啓発の3つの観点からアンケート調査や分析、考察をした内容が多いように感じます。言うまでもないですが、OJTとは、「On the job Training(業務を通じてのトレーニング)」、OFF-JTとは、「OFF the job Training(職場を離れて、研修会場等で実施されるトレーニング)」、自己啓発とは、「会社や上司からの指示なく、自ら主体的に学ぶこと」を指します。いずれにおいても、「学び」のプロセスを伴います。では、「学び」とはどのように考え、整理すれば良いのでしょう。
 OJT、OFF-JT、自己啓発における学びとは、職場での学びが中心です。しかしながらそのメカニズム(理論や概念)を理解している担当者は少ないのではないでしょうか。例えば、リフレクション、フィードバック、経験学習、職場学習、越境学習、マネジリアルコーチング、研修転移などの理論や概念について、専門家は勿論のこと、担当者はどの程度理解しているのでしょうか。インターネット検索等容易に情報検索・収集ができる昨今では、表面的理解に留まり、本質を理解していない担当者も多いように感じます。
 研修(人財育成)が「経験と勘」レベルで語られる状態から、理論や概念に基づいて語られる状態へと進化した点は評価できますが、本質理解という点ではもう一段の工夫が必要です。これからの担当者に必要なことは、研修(人財育成)に関する理論や概念について、表層的ではなく、本質レベルで理解するスキル(深化)と、理論や概念を研修(人財育成)の現場で実践(トライ&エラー)するだけでなく、PDCAサイクルマネジメントやリフレクションなどを通じて最適化できるスキル(探索)が要求されることでしょう。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)