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2023年4月28日

職場のモヤモヤの正体 ~誰が判断するの?どういう手順なの?曖昧さへの対処~

 皆さんの職場でも数多く散見されるモヤモヤ。それ誰が決めたの?誰が責任者?いつ決めるの?手順はどうなっているの?・・・こうしたモヤモヤする場面って意外と多いのではないでしょうか。モヤモヤが多くなると、仕事を進めるのが困難になり、無用なストレスも溜まります。モヤモヤする曖昧状態を克服するにはコツがあります。今回のコラムでは、職場のモヤモヤ(曖昧さへの対処)についてご紹介します。
 そもそも「モヤモヤ(曖昧さ)」の正体は何でしょう。モヤモヤ(曖昧さ)には、2つの要素があると言われています。一つは、多義的であること。一つの情報が複数の意味を持つのが多義性の意味するところです。もう一つは、情報が不足していることです。例えば、皆さんが「この資料を改善しておいてほしい」という指示を上司から受けたとします。内容を充実させるべきか、デザインを見直すべきか、不要な部分を削るべきか、悩むはずです。このように様々な解釈があり得るのが、多義的な状況です。さらに、「書類の提出を早めにお願いします」と言われた場合も多義的です。今日中に提出すべきか、今週中に提出すべきか、どれくらい急ぐべきか分からないからです。
 一方で、情報が不足している状況の例としては、プロジェクトの開始時に目標や期待が明確でない状況が考えられます。加えて、進行中のプロジェクトで急な変更があった場合、どのように対処すべきかわからなくなることもありますが、それも情報不足が原因です。
 こうしたモヤモヤ(曖昧さ)には上手に対処したいものです。モヤモヤ(曖昧さ)と上手につき合っている人は、モヤモヤ(曖昧さ)の状況に対してポジティブな態度を持ち、やりがいを感じる傾向があると言われています。例えば、チームで意見が分かれたとき、上手につきあう人は、様々な意見を検討し、それぞれの長所を見極めてから意思決定します。プロジェクトで急な変更があったときにも、状況を素早く把握し、柔軟に対応します。こうしたモヤモヤ(曖昧さ)と上手につきあう人材が魅力的なのは、直感的に理解できそうですが、既存調査・分析でも、主要な効果が3つあると言われています。

①仕事のパフォーマンスが高い:曖昧な状況に適応し、解決策を見つけられるため、結果的に仕事の成果が高まります。
②創造性が高い:異なる視点や意見に対して柔軟に捉えることができ、新しいアイデアが生まれやすくなります。
③健康な状態が保たれる:曖昧な状況でもストレスを感じることが少なく、心理的にも健康な状態を保てます。

 VUCAの時代、先が見通せない時代と言われます。充分に情報収集できず、判断に迷う場面が多くなるかと思います。モヤモヤ(曖昧さ)場面に直面した時、どのようなマインド、行動が取れるかで、その後のパフォーマンスに大きな違いが出る時代です。皆さんの職場でもモヤモヤ(曖昧さ)とのつきあい方について、対話(ダイアログ)してみてはいかがでしょうか。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)