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2023年6月23日

管理職に求められる「傾聴・共感」の真意とは

 昨今、管理職に求められるスキルが変化し、右往左往する管理職が多く見られます。上位下達の同質的な集団で部下を統率する管理職。言わば、父親的な役割を求められてきました。階層(ヒエラルキー)重視型組織における伝統的管理職イメージです。今後は、フラットで自律型組織が増えてきます。そこでは、多様なメンバーを育成していく母親的役割を重視したマネジメントに変化していきます。現在の父親的管理職にとっては、新しい管理職像を模索しなければならない難しいタイミングです。
 私も、管理職研修等で、「傾聴・共感」関する理論や技法を紹介することがあります。根底にある思いは、他者を愛し、尊重する気持ちの醸成です。こうした気持ちがあればこそコミュニケーションを取りたくなり、傾聴したくなるものです。人を助ける(サポートする)ことが上手な人を観察してみると、人に助けられた経験を持つ人が多いです。互いの苦手分野を補い合うチームワークを経験した人は、自身の弱みを隠さず、他者の得手不得手を尊重できるようです。
 管理職が直面している課題に目を向けると、自分の能力・スキル・経験だけではどうにもならない課題を抱えていることが多いです。こうした場合、他者の協力を仰いで乗り越えてきた経験を持つ人の話は示唆に富んでいます。一方で、自分の中だけで完結する業務で成功体験を積んでも、自己愛が肥大化し、他者の欠点ばかりが目についてしまいます。メンバーに対して、的確な評価はできても、育成が苦手な管理職になってしまうケースをよく目にします。
 多くの企業は、次世代を担うマネジメント層育成が喫緊の課題です。他者と助け合う経験は、他者を尊重する管理職を育てる。こうした経験が積める環境(土壌)を社内に多く実現できれば、自ずと理想的な管理職が育っていきそうです。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)