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2023年8月3日

人財育成・定着における相互理解の重要性 ~ペア・ワークショップによる対話(Dialogue)~

 人財育成担当者の皆さんは、世代間で価値観や考え方が異なり、育成と組織への定着をどう進めていったらよいか悩んでいる方も多いと思います。特に、毎年一定程度新卒新入社員を受け入れる組織では、Z世代と呼ばれるイマドキ新入社員とのコミュニケーションに苦労されているかも知れません。教育方針の変化や、幼い頃からインターネット環境で育ち、多様な情報に触れる中で生きてきた彼らにとっては、先輩や上司世代と異なる価値観や考え方を持つのは自然な極自然なことかも知れません。
 価値観や考え方が異なる中で、社員が職場で個性を発揮し、成長を遂げていくためには、「居場所」を提供することが大切です。居場所とは、心理的安全性が担保された自分らしく輝ける場所です。そのためには、上司と部下、同僚同士などで相互理解(価値観や考え方を知り、共有する)のプロセスを踏むことが必要になります。しかし、昨今では、コロナ禍の影響やテレワークの普及なども相まって、社員同士が物理的に同じ空間で過ごす時間が減少傾向にあります。相互理解を現場任せにせず、組織が能動的に「居場所」を提供するにはどのような機会が必要でしょうか。
 『ペア・ワークショップ』という手法があります。例えば、新入社員や中途入社社員が配属されてから2ヶ月以内を目安に、新入社員と先輩社員が2人でペアになり、このワークショップを受講します。ワークショップでは、「仕事で重視している考え方や価値観」、「将来どのように組織に貢献したいか」など相互理解に繋がるテーマを設定し、2人でじっくりと対話(Dialogue)をします。対話(Dialogue)を促進し、効果性を高める為に、コミュニケーション技法を習得したファシリテーターを配置することもポイントです。
 多様な価値観や働き方の尊重が求められる昨今、相互理解のための対話(Dialogue)の時間を設けることは社員の育成、定着、更には離職抑止(リテンション)において有効な一手であると考えますがいかがでしょうか。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)