2023年11月29日
競争環境の変化が激しく、組織の意思決定もスピードと確度が要求されています。経営層と現場を繋ぐミドルマネジメントの役割は増すばかりです。一方で、プレイングマネージャー化し、後進の育成に手が回らず、人財育成の足かせになっているのもミドルマネジメントです。これは、多くの企業が抱える課題(ジレンマ)ではないでしょうか。 2023年にリクルートが調査した結果では、「負担が重すぎる」と感じているミドルマネジメントは、約60%。また65%のミドルマネジメントは、「次世代の経営を担う人財が育っていない」と回答しています。ミドルマネジメントのリーダーシップも弱体化しています。パーソル総合研究所の2022年調査では、「ビジョンや方向性を明示していると感じている」働き手(≒部下)の比率は、40%程度に過ぎません。過半数以上のミドルマネジメントは、部下にビジョンや方向性を語ることができていないのです。背景には、「日本の管理職は部下の失敗のフォローや眼前の問題・課題への対応が役割の中心だ」と考えているためです。同時に、多くの企業の職制上、部下の給料や配置・異動に関する権限も弱く、生産性や適材適所を実現するインセンティブも低いからです。 将来ミドルマネジメントに就きたい若手の比率は益々低下しています。2022パーソル総合研究所のアンケート結果では、19%程度です。若手の多くは、ミドルマネジメントは様々な観点から“コスパ”が悪いと言います。 組織の中長期的発展と優秀な人財の確保、リテンションには、ミドルマネジメントの活性化が必須であることは論を待ちません。まずは、自社のミドルマネジメントの実態(業務実態のみならず意識面での状態も)をバイアス(先入観)なく把握し、結果に真摯に向き合うことからはじめてみるのが良いのかも知れません。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長
1996年早稲田大学卒 2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉 1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。 その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。 現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長 ■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員 ■2級キャリアコンサルティング技能士 ■産業カウンセラー ■大学キャリアコンサルタント ■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)