2024年3月4日
伝統的な日本企業(大企業、中小企業問わず)では硬直的な慣習が社員の働きがいや熱意、コミットメント、エンゲイジメントを低下させると言われます。例えば会議の場では、長時間拘束された上に結局何も決まらない。長老が場の空気を支配し、何となく物事が決まる。若手社員の忌憚のない発言を秒殺する睨みを効かせる管理職。こうした慣習が若手社員のパフォーマンス発揮の障害になっているという声を多く聞きます。さらに話を聞いてみると、経営幹部に高度成長期やバブル期の強烈な成功体験があり、組織文化が「前例踏襲」を前提としていることに気づきます。 当然ですが、前例踏襲では、人口減少時代には成長が止まります。未来の成長事業を創造するには前例踏襲型からイノベーションを通じて自ら市場に変化を起こす「自律変革型」の組織文化に変えていく必要があります。 では、どうすれば変化が実現できるのでしょう。スタートアップ企業の組織を観察していると、そもそも毎日が変化だらけで、日々小さなイノベーションが沢山生起しています。急成長することを前提に組織を設計しているようです。イノベーション生起の頻度を上げるには、ジョブ型(ジョブ型的?)雇用で高度な専門人財を抱え、彼らと既存メンバーとの化学反応が欠かせません。優秀人財に市場価値に見合った報酬を与え、リスキリングを継続しながら事業成長を牽引するマネジメント人財も必要です。何よりも変化にスピード感を持って対応するために、情報はオープンに共有し、権限移譲を通じたフラットな組織が理想です。 スタートアップ企業の経営層が理想とする組織カルチャーとして声を揃えて言うのが、①自社が目標とする世界観や価値観への強い共感②事業推進に必要な人財が質・量ともにタイムリーに揃えることができる③高い多様性の環境下で相互理解し、協働して価値を産み出すことができる組織カルチャーの3点です。 伝統的日本企業でも創業時はスタートアップであったはずです。時間の流れと共に熱狂やスピード感、ダイナミズムを失い、過去の成功体験故の前例踏襲という習慣に囚われてしまいます。本当に勿体ない状況です。まずは、スタートアップ企業の経営層と対話(Dialogue)する機会を求めて、社外に出てみることからはじめてみてはいかがでしょうか。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長
1996年早稲田大学卒 2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉 1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。 その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。 現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長 ■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員 ■2級キャリアコンサルティング技能士 ■産業カウンセラー ■大学キャリアコンサルタント ■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)