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2025年3月5日

新卒採用の真の目的を再考してみましょう! ~慣例や惰性からの脱却~

 若年人口減少が加速し、新卒採用市場も優秀な学生の早期囲い込み傾向が顕著になっています。各社採用担当者を増員したり、選考ツールを工夫したり、面接や内定後の学生とのコミュニケーションに注力したりという具合にターゲット人材の量的・質的確保に躍起になっています。特に、SNSやアプリ、オウンドメディアという自社媒体の進化には注目すべき点が多々あります。

 一方で、折角採用した新卒社員が職場に馴染めず、早期に離職してしまう傾向は相変わらずです。個人的に懇意にさせて頂いている株式会社カイラボ(https://kailabo.com/)の代表取締役井上洋市朗氏によれば、新卒社員が早期離職する背景には、「モヤモヤ期」という悩み、葛藤する時期があると説きます。配属先の上司や先輩は、新卒社員がある日突然辞めると言い出したと人事部に説明しますが、背景には、「モヤモヤ期」を見過ごしてしまったというマネジメント上のミスもあります。「モヤモヤ期」を見過ごさないためには、日頃の観察と信頼関係の構築が大切なことは論を待ちません。

 この「モヤモヤ期」に関連して、よく新卒社員本人から耳にするのが、「配属先の上司や先輩が多忙で構ってもらえない」という現象です。俗に放置プレイと呼ばれる状態です。各企業、新卒採用を行うと同時に、即戦力でのキャリア採用も強化しています。採用にかかるコストが増加していく一方で、教育研修、特に新卒社員に対する人材育成コストは数十年横ばいか、減少傾向が続いています。勿論、力を入れている企業も数多く見てきましたが、昨今では、むしろ力を入れていない企業が悪目立ちしている感もあります。

 話を新卒採用に戻します。令和時代に入り、新卒は売り手市場であり、多くの企業が採用に苦労しています。にも関わらず、入社後は雑に扱う企業も目にします。俗に言う、釣った魚には・・・といったところでしょうか?研修もほぼなく、現場に丸投げ(似非、なんちゃってOJT)してみたり、任せる業務が見当たらないので待機させておいたりという光景は皆さんも感じておられるかも知れません。
 また、研修プログラムはあるものの、eラーニングやオンデマンドという、実態はビデオ鑑賞になってしまい、研修効果に疑問が湧くケースも散見されます。なぜ、こんなことになってしまうのか?背景には、新卒採用を継続実施する真の目的を見失っていることが挙げられます。過去からの慣例や惰性で何となく新卒採用を継続している企業は案外多いです。「若くて従順な採用コストの安い人財を大量に確保したい」、「採用選考フローが確立されているので考えなくてよい」といった理由は、真の目的に合致しているのでしょうか?

 「我が社はなぜ新卒採用にこだわるのか?」、「どういった人財が欲しいのか?」、「人財育成プログラムはアップデートされているのか?」、「採用、育成の費用対効果は検証できているのか?」、「第二新卒や中途(キャリア)採用とどこが違うのか?」・・・。こうした基本的問いと真摯に向き合い続けることが、新卒採用の真の目的に辿り着く唯一の路です。

 誰ひとり幸せにならない新卒採用を継続している企業があるのなら、大胆な再考が必要かも知れません。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)