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2026年1月28日

人事1年目の教科書(ひとり人事から中堅企業まで使える)コラム②増大する転職潜在層とエア転職

 転職市場の有効求人倍率は、全業種平均で1.91(某大手人材会社調べ)と売手市場が続いています。20~30代を中心に転職潜在層も急増しています。

 転職潜在層とは、転職したい意欲はあるものの、積極的に転職活動をしていない層を指します。

 転職サイトに登録しているだけで応募していない人、情報収集をしているだけの人などが該当し、良い条件があれば転職を検討する層です。ある調査によると、労働人口の約6割~7割が「転職潜在層」に該当し、20代では3人に1人が該当します。人口知能(AI)を活用し、転職潜在層を自動的に発掘・スカウトするサービスを提供する会社も存在します。

 彼らは、「現職に大きな不満はないが、より良い条件やキャリアアップの機会があれば転職をする」という意識です。

 Z世代(20代)のキャリア観は、「自分らしさ」と「不安」がキーワードです。専門性を武器に個性を発揮することで評価されたいと思う一方で、他人の目を過剰に気にし、自分を見失うことも多い世代です。

 「求める人材に全く出会えない」、「採用活動が難航している」企業にとっては、転職潜在層が新たなターゲットとなり、積極的にアプローチを行っています。スカウトメール、リファラル採用による人脈活用、SNSによる情報発信、タレントプールでの候補者とのコミュニケーションなどです。

 候補者に対しては、すぐに選考に誘導するのではなく、中長期的な関係構築を念頭に信頼関係を築いていきます。

 転職潜在層の中では、実際に転職するわけではないが、転職活動と同じ準備を行う人が増えています。私は、この準備行動をエア転職と呼びます。エアギターという言葉からヒントを得ました。キャリア棚卸し、職務経歴書の作成、求人案件のチェックなどを通じて自分の現在地を確認します。実際に求人案件にエントリーし、書類選考、面接とステップを経験することで自分の現在地=転職市場での評価を確認することもあります。

 「自分らしさ」の追求と「不安」の解消がテーマのZ世代にとっては、エア転職を通じてキャリア観をアップデートしています。キャリアの棚卸しという点では社内の昇進や昇格、キャリア面談などにも好影響を及ぼします。

 多くの企業では管理職登用、役職定年、セカンドキャリアなど、節目に応じてキャリアの棚卸しと研修(意識改革)を行ってきました。でもこれからはエア転職を習慣化している世代が多く入社してきます。キャリア支援プログラムにもエア転職を組み込むことがポイントです。多様化・流動化する労働市場にマッチしたキャリア支援プログラムに進化させることが可能になるかも知れません。

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経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科(現在は経営学研究科)博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において30年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)