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2026年4月1日

新入社員へ 変化の激しい時代 ガチャガチャを楽しもう!

 4月1日の本日は、多くの企業で新入社員を迎えています。弊社グループも同様です。新たに社会人の一歩を踏み出した彼らの門出にエールを送りたいと思います。

 昨今、配属ガチャや上司ガチャといった言葉を多く耳にします。「配属ガチャ」とは、配属先が必ずしも本人の希望通りとはならず、ランダムに決まる現象をカプセルトイの販売機である「ガチャ」になぞらえた言葉と言われます。上司ガチャも同様です。

 特に新卒入社の場面で言われることが多く、希望や適性が反映されにくい現実を揶揄するバズワードとして浸透しています。

 人事担当者の視点では、企業経営は不確実が高く、組織マネジメントも環境変化に臨機応変な対応が求められます。企業や組織では、合理的に説明がつく場面が意外と少なく、あれ?どうして?なぜ私(アイツ)が・・?と思うことの方が多いです。

  経営学には、「意思決定における限定合理性」という表現があります。人間は、いつも合理的であろうとするけれども、認識能力の限界によって、限られた範囲の合理性でしか判断できません。こうした現実を1947年にハーバート・サイモンという研究者が既80年近く前に発見しているのです。凄いと思いませんか?

 経営や組織マネジメントは、限定合理的な判断や決定が日常だとすると、配属ガチャや上司ガチャも必然?なのかも知れません。

 新入社員が新しい職場生活をスタートさせると、配属ガチャや上司ガチャだけでなく、先輩・同僚ガチャ、通勤ガチャ、顧客(クライエント)ガチャなど、ガチャガチャに溢れた毎日を送ることになります。

 正直辛いですよね。

 そんなみなさん(勿論、新入社員を迎え入れる上司や先輩のみなさん)に向けて、組織・人事マネジメント実践家の岡田英之からメッセージです。少し長いですがお付き合いくださいませ。

 「スクイグリーキャリア」という考え方をご存知でしょうか。

 スクイグリーとは、聞きなれない言葉かと思います。「曲がりくねった」とか「非直線」という意味です。VUCA時代は、不確実性が高いと同時に可能性(チャンス)に溢れた時代でもあります。

 個人のキャリアも必ずしもまっすぐで直線的、つまり、決められた(想定された)パス(経路)を歩んでいくことだけが正解ではありません。時には脱線、寄り道、遠回りと思えるようなこともキャリアを豊潤にし、人生を充実させてくれることがあります。

 ひとりひとりが主役となり、個性を活かし、自律的にキャリアデザインすることがスクイグリーキャリアです。

 これからスクイグリーキャリアを実装していく上で、いくつかヒントがあります。

①ファーストキャリア
 ファーストキャリアとは、新卒で初めて入社する企業や、そこで行う主な業務のことです。社会人としての基礎を醸成する最も重要な期間に何を学び、経験できるかはとても重要です。ビジネスパーソンとしての基本動作をしっかり習得しましょう。拙著の第1章で記載した「感・観・勘(3カン)力」を養っておくとよいでしょう。3カン力とは、「見えないものを観ようとする(観察)力」です。つまり、周囲の上司、先輩、同僚、顧客の言動から本質(大切にしていること、理想と現実)を掴もうとする力です。

②ポートフォリオキャリア
 ポートフォリオとは、ポートフォリオの意味は業界によって大きく異なっていますが、もともとは「書類入れ(引き出し)」という意味です。ここでは、キャリアの引き出し、選択肢をできるだけたくさん用意し、ライフステージに応じて、組み合わせ方を工夫しながらキャリアをデザインするイメージです。例えば、若年期は、自身が勤務する会社の人事業務に100%フルコミットし、知識、スキル、経験を獲得する。中年期に入ったら、家庭(家事育児)との両立をしつつ、専門性を確立するために社会人大学院や勉強会、セミナーに積極参加(越境学習)しつつ、社外ネットワーク(ソーシャルキャピタル)も獲得する。壮年期になったら、マネジメントスキルと拙著の第6章に記載した、フレックススペシャリティー(臨機応変な専門性)を武器に組織に貢献する。というイメージです。

③キャリアの引き出しに何を入れる(御守りとして準備する)
 ポートフォリオキャリアのところでお話した、キャリアの引き出し。では、引き出しのインデックス(名札)は何でしょうか。私は次の3つと考えます。

■キュレーション
 キュレーションとは、膨大な情報の中から必要なものを選び出し、それを整理、編集するプロセスを意味します。情報の取捨選択と言ってもよいでしょう。多くのビジネスパーソンにとって、日々社内に流通する膨大な情報には敏感になっておく必要があるあります。その一方で、情報に溺れてしまったり、真偽の怪しいフェイク(噂話や風聞)に翻弄させられることには注意が必要です。自分なりの情報入手ルートと整理、分析手法を確立することで信頼感を得て、拙著の第1章に記載した、PDFの“F(フィクサー)”として活躍して欲しいものです。
 
■レジリエンス
 メンタルヘルスマネジメント分野でよく耳にする言葉だと思います。「回復力」、「復元力」、「耐久力」という意味です。ここでは、逆境やストレスに直面した時に乗り越えて適応する(前向きにポジティブになれる)力を意味します。しなやかさと言っても良いかもしれません。

■アダプタビリティ
 アダプタビリティとは、変化する環境や職務に適応しながらキャリアをデザインするスキルです。今後のキャリアで、転社(転職ではない)を経験したり、子会社に出向・転籍したり、ある日突然予期せぬ方からお声がけいただいたり、M&Aや、オーナー(経営者)が変わったり・・。というようなみなさんのキャリアを揺るがすような変化は、これまで以上に頻繁に生じるかも知れません。そこでは、期待される役割や職務も変化します。こうした場面で変幻自在に適応できる人は自己実現もしやすいです。フレックススペシャリティー(臨機応変な専門性)がキャリアアンカー(最も大切にしている価値観や欲求)になります。

 聞きなれない言葉がたくさん出てきたかと思います。今日現在は必ずしもピンとこなくても、この記事内容を5年後、10年後に読み返していただけると嬉しいです。みなさんのキャリアにとって、ちょっとしたスパイスになればと思います。

僭越ではございますが、私の著書(単著)昨年6/12(木)発売されました。 
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経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長 岡田英之

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長

岡田英之

1996年早稲田大学卒
2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科(現在は経営学研究科)博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉
1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。
その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において30年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。
現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長
■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
■2級キャリアコンサルティング技能士
■産業カウンセラー
■大学キャリアコンサルタント
■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)