2026年8月31日
“ちょっと待って、それって副業” 「副業」という言葉が世間を賑わせるようになってからもう4~5年は経過したことでしょう。皆さんの周囲ではいかがでしょうか。既に経験された人、規定(ルール)を導入した会社もあれば、副業なんてとんでもないという会社もあるでしょう。実際は、経験はしてないけどモヤモヤ気になっている方が大半なのではないでしょうか。 某人材系企業のデータ(2025年)から以下のような様子が垣間見えます。 ■副業の経験率:約25%〜40% ■平均月収:約51,000円 〜 65,000円(月収が10万円を超えるのは全体の10%程度) ■副業意向のある人:47.7% この数字を見て何を感じたでしょうか?副業経験者は意外と多い、そんなに稼げない、実際は副業してみたいけど仕事(案件)がないのだろうなあ、一部のスペシャリストだけの世界かな? といったところでしょうか。 先日の日本経済新聞の記事にこんな内容が掲載されていました。 “社員が他部署で「副業」”コニカミノルタ 報酬最大月10万円 というタイトルです。他部署で「副業」ってどういうこと? 内容を読んでみると、 7月に「スキルシェア制度」を導入。社内のシステムに各部署が毎月ごとに求めるスキルや業務内容を示した「求人」を出す。社員は所属長の許可を取った上で応募し、書類選考や面接を経て起用される。対象業務はITスキルや事業企画など専門的知見が必要なものに限り、期間も最長で3ヶ月間とし、通常業務に支障がないように所属部署の勤務時間外(残業)で対応するとのこと。 この記事に関し、人事実務家たちと意見交換をしてみました。 ■そもそもこれって副業なのだろうか? ■社内公募制度やFA制度といったこれまでも存在する内部労働市場を活用した人材調整システムとどこが異なるのだろうか? ■スキルシェアと称すれば聞こえが良いが、要は新規採用に伴い発生するコストを時間外労働で代替しようとしているだけではないのか? といった実務家ならではの鋭い(現場目線)意見が多かったです。 組織・人事マネジメント実践家である私から、経営参謀型人事やひとり人事の視点で「副業」を巡る動向についてコメントしたいと思います。 ■本来、会社や組織、業務内容と個人の指向性(キャリア)がマッチし、所属組織で活き活きと働ける状態が理想です。そのための環境整備を担うのが人事担当者の重要な役割です。 ■ミスマッチが発生してしまったとき、深呼吸して社内を見渡してみましょう。本人の能力、スキル、経験が活かせるフィールドはないかと奔走するのも人事担当者の役割です。昨今、「ジョブ型」を巡る誤解された議論も多く見られます。残念なことです。 日本企業の多くの職場では、メンバーシップ型(意識的・意図的かは別として)を基本とした内部労働市場が形成されています。自組織内で適材適所の随時最適化が図られているのです。決して特定のジョブのみで雇用契約を締結するようなことはありません。 ■スキルアップや最近流行のリスキリングという観点では、組織を超えた学びの機会(越境学習)の重要性も認識しています。しかし、闇雲に越境すれば良いというものではなく、グループ会社や子会社、関係取引先企業といった“学びのデフォルト設定”が共有できる環境に越境することが効果的です。学びのデフォルト設定とは、自社固有の業務スタイル、カルチャー、考え方です。ビジネス的には競争優位性(人材育成のコアバリュー)です。これを理解(腹落ち)した上での学びが大切です。 つまり、冒頭のアンケート結果に見られる通り、月10万円程度の金額で自身の貴重な時間やスキルを切り売りするのは得策ではないということです。 副業を過度に意識する働き方よりも、仲間が日々奮闘する姿から学ぶことの方が多い気がします。まずは、皆さんの身近(半径2メートル)の仲間と仕事についての思いや考え方について対話してみてはいかがでしょうか。 僭越ではございますが、私の著書(単著)昨年6/12(木)発売されました。 お手に取っていただけますと、嬉しいです。↓ (Amazon) https://amzn.asia/d/igD0yOB (楽天) https://books.rakuten.co.jp/rb/18221553/?scid=we_mail_item_share

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長
1996年早稲田大学卒 2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科(現在は経営学研究科)博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉 1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。 その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において30年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。 現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長 ■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員 ■2級キャリアコンサルティング技能士 ■産業カウンセラー ■大学キャリアコンサルタント ■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)