2026年10月16日
プルデンシャル生命の組織不祥事がメディアを賑わせています。特にフルコミッションと呼ばれる多額の成果報酬は優秀な営業マンを囲い込む有力な武器となる一方で、過度な業績・成果主義が組織の歪みを招いたことも事実です。 メディアでの報道や元在籍社員の声からも以下のような象徴的な社員(実態は偽装雇用と言われる場面もある)の特徴があるようです。 ◆高級なスーツに時計、信頼がモノを言う保険販売ではある種独特な身なりの社員が多い。 ◆「稼いでいる」という姿をあえて演出することで顧客に安心感を与え、距離を縮める。 ◆社内では「プルゴリ」と呼ばれる人たちが存在する。「プルゴリ」とは、プルデンシャルのプルとゴリラのようにマッチョなイメージやゴリ押し営業を掛け合わせた言葉。実際に社内での報酬格差は凄まじく、トップセールスが億単位稼ぐ一方で、契約を取れないと最低賃金レベルまで落ち込む。 人材採用の特徴として、以下の点が想像されます。 ①とにかく高収入を全面に出した採用手法。特にスキルや経験値に乏しい若手人材をターゲットに「やればやっただけ」の実力主義を標榜する。 ②生保営業と同様、人脈(ネットワーク)をフル活用した採用手法。よく言えばリファラル採用かも知れませんが、実際は、少し強引なスカウト(引き抜き)。 ③採用選考プロセスで管理職が実際の報酬明細を候補者に提示し、フルコミッションのリアルを強調する採用手法。 人事担当者と話をしていると以下のような声を耳にします。 ◆雇用(労働)契約は交わしているのだろうか?実態は業務委託に近い偽装雇用だったのでは?給与を年末調整ではなく、報酬という名目で個人が確定申告していた実態もあるようです。 ◆行き過ぎた実力主義の結果、組織構造やマネジメントも全て報酬額を基準に裁量権や指揮命令権が与えられていく印象です。適材適所というより「稼いでいる人間には何も言えない雰囲気」が蔓延していたのでは? ◆数十年前では一部通用していた採用、人材マネジメント手法なのかもしれません。働き方が多様化し、コンプライアンス意識も高まっている令和時代では通用しない手法。アップデートできなかったのでは? ではどうするのか?私からは以下の提案(アイデア)を提示します。 ■最適な成果主義への試行錯誤 プルデンシャル生命に限らず、営業主導型の組織では同様の事例やリスクを抱えている組織は意外と多い印象です。ここ数十年、行き過ぎた成果主義の弊害はそこかしこで議論され、研究成果や実践場面でも成果主義型人事制度の見直しや修正が重ねられてきました。成果主義自体を否定するわけではなく、評価手法や結果のフィードバック、報酬格差、人材育成制度との連動など自社のビジネスモデルに適した成果主義を模索し続ける根気強さが求められます。 ■AIも活用したマネジメントの透明性、可視化 業績を上げ続けない限り、組織やマネジメントにものが言えない組織。不正や不祥事を目にしても見なかったことにする組織。高業績者ばかりに発言権が集中し、集団圧力が過度に高まると、息苦しさばかりが蔓延します。業績を上げることができない社員は静かに職場を去っていきます。自浄作用もなかなか働きにくい環境です。だからこそ、AIを積極的に活用し、管理職クラスの言動をデータ化してみたり、メンバーのマインド(気持ち)の変化を記録してみたりしてみましょう。これまで何となく感じていたマイナスの空気感やオーラのようなものをAIで可視化し、組織の透明感を高めてみましょう。 僭越ではございますが、私の著書(単著)昨年6/12(木)発売されました。 お手に取っていただけますと、嬉しいです。↓ (Amazon) https://amzn.asia/d/igD0yOB (楽天) https://books.rakuten.co.jp/rb/18221553/?scid=we_mail_item_share

経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長
1996年早稲田大学卒 2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科(現在は経営学研究科)博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉 1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。 その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において30年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。 現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長 ■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員 ■2級キャリアコンサルティング技能士 ■産業カウンセラー ■大学キャリアコンサルタント ■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)