2020年2月8日
労働組合の組織率は、現在20%を下回っている。組織率は今後も低下し続けるであろう。組織率低下に関する4つの先行研究の中から組合魅力度の低下説(組合活動活性化⇒魅力度アップ⇒組織率の向上)の検証とした。調査対象は、組織率が2018年1月末現在30.7%まで低下しているオープンショップ制のA大学教職員組合をとりあげた。この組合では組織率の高い支部(職場)と低い支部(職場)があり、それらの間における組合加入条件や状況、組合活動の違いを、組合役員及び組合員への質問紙調査やインタビュー調査等で比較した。その結果、組合活動を活性化し、魅力的な組合活動を組織内外にて展開することが、組織率向上には不可欠であるという仮説─1980年代のUI運動時代から労働界に立てられてきた議論を再考する必要がある。この仮説は、オープンショップの労働組合が組織拡大を図るにあたって成り立っていない、という結論に至る。つまり、組織率の高低は、入社時(新入社員研修時)やその後の職場配属時に、職場の組合役員から誘われているから、皆が入っているから、という同調行動に大きく影響を受けている。したがって、今後、労組組織率低下の要因と対策を検討するにあたり、この同調行動仮説が一般化できるものなのか、検証していく必要がある。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長
1996年早稲田大学卒 2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉 1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。 その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。 現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長 ■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員 ■2級キャリアコンサルティング技能士 ■産業カウンセラー ■大学キャリアコンサルタント ■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)