2021年5月31日
現在、ビジネスシーンで「パーパス経営」という言葉が流行しています。 「パーパス(Purpose)」とは、一般に「目的、意図」と訳される言葉です。経営戦略やブランディングのキーワードとして用いられることが多く、その場合は企業や組織、個人が何のために存在するのか、すなわち「存在意義」のことを意味します。 私たちのビジネスシーンで多く耳にするパーパスとは、社会とのつながりを強く意識し、社会における企業の存在意義を明確に宣言するもの。つまり「社会において、企業が何のために存在し、事業を展開するのか」を示すことです。 ここ数年、グローバル化の負の側面が目立つようになり、西欧を中心に世界中で資本主義が暴走し、社会問題が深刻化する中、日本的な経営思想に再度光が当たってていると考えることも可能でしょう。 人事の領域でも、バブル崩壊以降、米国由来の人事マネジメントツールを多く輸入してきました。勿論日本企業にフィットしたツールもありましたが、却って日本企業の良さを棄損させてしまったツールも数多くありました。多くの企業人事担当者が気づき、反省していることとして、米国由来の人事マネジメントツールに盲目的に追従するスタンスからの脱却があります。もう一度足下を見つめ直し、自らの頭で考え、自らの眼で現場を確認することの大切さが叫ばれています。 著名なアメリカの心理学者アブラハム・マズロー(「欲求段階説」で有名)は、自らの著書『人間性の心理学』(1954年)の中で、 “21世紀の世界は、西欧的な利己主義を超え、東洋的な利他主義に近づいていく” と述べています。今から約70年前に、西欧的利己主義の暴走を予見し、東洋的利他主義の必要性を説いた洞察力の深さには感服させられます。 皆さんの企業の「パーパス」は何でしょうか?「利他主義」という言葉を手がかりに、パーパスや日本的経営について議論してみるのも良いかもしれません。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長
1996年早稲田大学卒 2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科(現在は経営学研究科)博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉 1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。 その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において30年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。 現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長 ■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員 ■2級キャリアコンサルティング技能士 ■産業カウンセラー ■大学キャリアコンサルタント ■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)