2021年11月30日
2020年以降新型コロナウイルス感染症が蔓延し、多くの企業でテレワーク試行し、これまでとは異なる環境で働く就業者が増えています。企業人事の世界では、テレワーク下において人事評価への納得感が形成されるプロセスについての研究や経験が蓄積されつつあります。ある研究では、人事評価に際して、テレワーク環境の特徴、知覚された不確実性、上司とのコミュニケーションを考慮に入れる必要があることがわかっています。さらに、日本の就業者を対象にオンライン調査を実施した研究では、次のような結果が得られました。 ①予想に反して、テレワーカーは非テレワーカーより評価への納得感が高い。 ②上司とのコミュニケーションの質は、評価への納得感との間に正の関連がある。 ③知覚された不確実性は、評価への納得感との間に負の関連がある。 ④非テレワーカーにおいては、上司とのコミュニケーションの量が知覚された不確実性を下げるが、テレワーカーにおいては、上司とのタスク志向のコミュニケーションが知覚された不確実性を下げる。 ⑤非テレワーカーでは、テクノロジーを用いた情報交換の重要性が高まると上司とのコミュニケーションが阻害されるが、テレワーカーでは逆の結果になる。 これらの結果は、テレワークと非テレワークでは、評価への納得感を高めるプロセスが異なっていることを示しています。テレワーク下で評価への納得感を高めるには、上司とのコミュニケーションの質を高めると同時に、タスク志向のコミュニケーションをしっかりとることが必要です。
経営統括本部長・組織人事コンサルティング部長
1996年早稲田大学卒 2016年東京都立大学大学院 社会科学研究科博士前期課程修了〈経営学修士(MBA)〉 1996年新卒にて、大手旅行会社エイチ・アイ・エス(H.I.S)入社、人事部に配属される。 その後、伊藤忠商事グループ企業、講談社グループ企業、外資系企業等において20年間以上に亘り、人事及びコンサルティング業務に従事する。 現在、株式会社グローブハート経営統括本部長、組織・人事コンサルティング部長、グループ支援部長 ■日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員 ■2級キャリアコンサルティング技能士 ■産業カウンセラー ■大学キャリアコンサルタント ■東京都立大学大学院(経営学修士MBA)